Letter Photo by Yuki Kono

モデルかんばらふうこ

12月下旬

モデルかんばらふうこ

冷え切った手をあたためるために買った

熱いお茶のペットボトルを握り締め

僕たちはホームを歩く

モデルかんばらふうこ

君がねえと声にした瞬間

駅のアナウンスが流れた

モデルかんばらふうこ

目的地へ向かう電車に乗るなり

君はそそくさと真ん中の席に座り

周りを見回した

モデルかんばらふうこ

幼い子供のように窓の外を眺める

君の心を読み取ろうとするけど

その瞳や口元、指の動きからは

悲しさしか伝わってこない

モデルかんばらふうこ

穏やかな景色と静かな車中

モデルかんばらふうこ

聞こえるのは線路を走る電車の音だけ

モデルかんばらふうこ

“ついたね”

“冬なのにとってもあったかい”

モデルかんばらふうこ

空を見上げて深呼吸する君

良い天気だねと気持ち良さうな

表現を浮かべる君とは裏腹に

モデルかんばらふうこ

駅に着いたとたん、僕はなんだか

世界中に二人だけみたいな気になった

モデルかんばらふうこ

僕たちは考える

何が正しい選択で、どう行動すれば

後悔しないのかを

モデルかんばらふうこ

その答えが「手紙」なのだ

残すためでもない見せるためでもない

過去の僕たちを送り出すためなんだ

モデルかんばらふうこ

2人の感情を瓶に詰め込む

互いに知らない

聞いてはいけないようなもどかしい空気が漂う

モデルかんばらふうこ
モデルかんばらふうこ
モデルかんばらふうこ
モデルかんばらふうこ

見えない傷を僕たちは抱えている

それ以上に見えない愛を注いでいる

そんな今にも溶けて溢れ出してしまいそうな

押さえきれない想いを

 

君は

 

君と僕は

モデルかんばらふうこ

“見ないで”

この広い浜辺に君のかすかな声が宙に浮く

 

僕たちはこれからどこへ向かう

方向を見失いそうになるけど

それでも僕たちは強く

生きなければならない

モデルかんばらふうこ

“そろそろ行こうか”

“うん”

モデル・文章 かんばらふうこ

撮影 小野友暉